映画熱 -2ページ目

映画 「アーガイル」

見た目で、惑わされるな。

 

 

うーん、また、変なものを見てしまった。どうしよう。

 

「キングスマン」のスピンオフ映画、ということでいいのかな。

 

2時間以上かけて、人がいっぱい死んだり、入れ替わったり、生き返ったり。

 

記憶が失われたり、思い出したり。

 

これを見ている観客も、あれっ、俺は何を見ているんだっけ、と迷子になっちゃう。

 

忙しいけど、けっこう呑気な映画ですなあ。

 

 

 

主人公は、スパイ小説で大成功した小説家の女性。

 

人気シリーズ「アーガイル」の4巻を書き終えて、現在、5巻を執筆中。

 

その終わり方をめぐって、母親と言い合いになり、

 

仕方ないので、母親に会うために、列車に乗ることに。

 

その列車には、次から次と、変な奴がいっぱい現れて…さあ大変!

 

 

 

監督はもちろん、マシュー・もディーン。

 

主演は、ブライス・ダラス・ハワード。

 

へえ、どんな女優さんだろう、と検索したら、えっ、「レディ・イン・ザ・ウォーター」?

 

えええ~っ、あの、水の妖精さん!

 

すげえ、成長されましたなあ、ご立派な体格になられて。

 

いやいやいやいや、これはきっと、役作りのためですね。間違いない!

 

今どきは、昭和の男が変なこと言うと、何とかハラスメントで怒られますよねえ。

 

そんなこと言いながらも、思ったことがつい口に出てしまう、罪深いおっさんでございます。

 

全く、ハラスメントに怯える、ハラハラハラスメントな世の中でございますな。

 

 

で、もうすでにお断りしたので、堂々と言いましょう。

 

この、ふくよかなレディが、実に色んなことをやってくれます。

 

俳優と役者、いわゆるアクターは、見た目が勝負の世界ですから。

 

登場した瞬間、そう見えるのが、俺的には重要な公式なので。(←映画コラムで昔言ってたかな)

 

 

とにかく、このオバちゃんがすごい。俺的には、充分、おねえちゃんですが。

 

彼女には、底深い魅力と、底知れないパワーが秘められておりました。

 

すげえ! 強え! カッコええ! (←それは、観客が決めること)

 

 

 

で、彼女の才能を引き出す役割を担うのが、サム・ロックウェル。

 

う~ん、どうしても、彼が、井上順に見えてしまう。

 

もしかして、日本語吹替版だったら、井上順が!(そんなわけないって)

 

 

そして、サミュエル・L・ジャクソンも登場します。

 

彼は、こんな感じの映画に前も出てたよなあ、何だっけ。

 

あ、そうそう、「ロング・キス・グッドナイト」!

 

ジーナ・デイビス主演で、この映画とほぼおんなじ話でした。

 

彼女に振り回されて、血だらけになって、笑ってたよねえ、兄さん。

 

 

それはさておき、ジャクソンもまた、ノリノリで、この映画の出演を楽しんでいるようです。

 

 

 

この映画は、大丈夫だろうか。

 

日本の観客に、ウケるのだろうか。

 

そんな余計な心配&余計なお世話をしなきゃならんほど、

 

変に、スゴい。 (←どうとでも取れるような、テキトーな表現)

 

 

 

まあ、恐いもの見たさに、見てあげて下さいな。

 

 

ちなみに彼女は、ロン・ハワード監督の娘だそうな。(←その情報、いらねえ~)

 

コッポ監督の娘がアレだけに、あっはっはですなあ。

 

 

 

しかしながら、スパイ映画といえば、やっぱりイギリスでしょう。

 

イギリス印の、イギリス愛がつまった、極上の映画。

 

どこを切っても、エゲレスでんがな。←バシッ

 

 

クライマックスで盛り上がる曲は、ビートルズの、あの名曲…

 

ここは、しっかり聴いて下さいね。特に、彼のファンは。

 

 

「キングスマン」では、スコッチの極上の酒が登場し、

 

アメリカが舞台となれば、バーボンが登場するし、酒好きなおっさんにはたまらない。

 

本作では、物語の主人公アーガイルを演じるヘンリー・カヴィルと同様、

 

原作者の主人公が、ロックグラスで、ビールを飲んでいる。

 

違うかなあ、でもこれは、オールドファッションと言われるあのグラスなんじゃないかなあ。

 

 

(それでビールを飲むのは、俺が通っているスナックのママさんだけですが笑)

 

たぶんきっと、何か意味があるんでしょうね。(ないかも)

 

(ちなみに今、ロックグラスにビールを注いで飲みながら、この記事を書いてます)

 

 

 

 

変身願望というのは、誰にでもある。

 

今の自分と、違う自分になりたい。

 

普通は、今の自分よりも、もっとすごい自分になりたい、と思うもの。

 

しかし、能力があり過ぎる者は、普通になりたい、と願うのかもしれない。

 

 

コブラ、しかり。

 

カムイ外伝、しかり。

 

 

能ある鷹は、爪を隠す。

 

脳ある鷹は、普通に飛ぶ。

 

脳なしなんて、ノーナッシング。

 

NOと言える日本人、Mr.ノー。(←タイガーマスク)

 

脳トレ、脳ナレ、自主トレ、好きにやっとれ。

 

もう、どうにでもなれっ!

 

映画を見ていると、そういう気分になっちゃう。

 

これぞ、ナチュラル・ハイ。

 

ハイボールな、アーガイル。

 

 

柿食えば、金がなるなり、放流爺。

 

酒飲めば、鐘が鳴るなり、ビッグベン。

 

ショウタイムだ、ショウ来たれり、ショーン・コネリー。

 

 

 

さあ、色んな意味で手強いぞ。この映画は。

 

「変な家」よりも、こっちの方が、何倍も変だぞ。

 

騙されるな。気持ちをしっかり持て。

 

 

…最後までしっかり見てくれたら、サーの称号を授けよう!

 

 

 

 

映画 「変な家」

この映画は、空間認識を勉強できる教材になるかも。

 

 

久しぶりに、映画館でホラー映画を見ました。

 

カップルや親子づれ、友達同士で、思う存分、楽しみましょう。

 

 

主人公は、動画クリエイター(いわゆるユーチューバー的な)の青年。

 

彼は、雨男というハンドルネームで、心霊動画を配信することで稼いでいたが、

 

最近はマンネリになってきたことで、新しいネタを探しているところであった。

 

たまたま、マネージャーが不動産のチラシを持っていたことで、

 

「変な間取り」があることに気づく。

 

いいじゃん、というノリで、彼は取材をし始めるが、次々と怪事件が起こり…

 

 

 

主演は、間宮祥太郎。「破戒」の彼ですね。

 

清楚な顔立ちが、苦悩する青年というイメージにピッタリでした。

 

今回は、ネット配信者の役ですが、彼が演じると、悪い男じゃなさそう。

 

むしろ、クセがあるのは共演の佐藤二朗でしょう。

 

彼は、どんな役柄でも、怪演しますから。

 

今回は、不動産屋で働く、建築のプロを演じます。

 

 

ヒロイン(?)じゃないか、謎の女性を演じるのは、川栄李奈。

 

「人魚の眠る家」で見ているはずなんですが、印象に残っていないので、

 

俺的には、「きみと、波にのれたら」の声優さん。

 

なるほど、かわええ女優さんですなあ。

 

 

 

 

家というのは、建てた人の希望が反映されるので、

 

何かしら、意図的な痕跡が残るもの…らしいです。

 

俺は、事情があって、ずっと借家暮らしなので、経験がないことですが。

 

 

なるほど、見れば見るほど、変な間取りですなあ。

 

不自然なスペースがあって、窓がない部屋があって…

 

この辺は、映画を見ながら解き明かしていくので、それを楽しむのがいいでしょう。

 

 

からくり部屋とか、かくし扉とか、秘密の通路とかは、

 

時代劇のお城や、戦争の要塞や、江戸川乱歩や、宮崎駿作品でおなじみですが、

 

本作は、あからさまに怪しいので、何だか笑えます。

 

先日見た「スイート・マイホーム」もありましたし、家モノは、結構多い。

 

「たたり」(モノクロ)や、「ハウス」「呪怨」など、色々ありますが、

 

黒沢清監督の「霊のうごめく家」が俺は怖かったなあ。

 

 

さて、問題の家を調査してネットにアップしたところ、

 

ある女性から、情報提供がありました。

 

何でまた、こんなユーレイヘアスタイルで登場するのかよくわかりませんが、

 

この、かわええ女子が、雨男をさんざん振り回してくれます。

 

あ、そうだ、思い出した。ローソンでハピろう女ですね!

 

 

俺的には、斉藤由貴が出演しているのが嬉しい。

 

彼女なら、閉じ込められても、ヨーヨーで壁をぶち壊して脱出できるもんね☆

 

さあ、必殺のヨーヨーアクションが見られるかどうか、乞うご期待!(←出ねえよ)

 

 

他にも、大物俳優が続々と登場しますので、ゾクゾクして下さい。

 

 

 

映画は、前半は恐怖演出タップリで、面白くて、楽しい。

 

後半は、謎解き云々で、うさんくさいアホなシーンが続きますが、がんばって見ましょう。

 

途中でおしっこ我慢できなくなって、出ようとしたら、迷って出られなくなったりして…うっひっひ。

 

 

とにかく、ホラー映画は、楽しんだもん勝ちでしょう。

 

(あ、怖がったもん勝ち、が正しいか)

 

ストーリーも伏線も穴だらけなので、落っこちないように要注意。

 

けっこう間抜けな展開だけど、バカ過ぎるアプローチだけど、

 

観客を楽しませようとしてやっているんだから、笑ってあげましょう。

 

(いやいや、怖がってあげましょう)

 

 

もう、クライマックスでこんなに笑ったのは、「感染」以来でしょうか。

 

あれに出ていたベテラン俳優が、同じように盛り上げてくれますので、お見逃しなく。

 

 

あと、よい子は真似しないで下さいね。

 

たいまつを持って家に入るのは、危ないからやめましょう。

 

心ある親御さんは、お子様に指導してあげて下さい。

 

 

 

 

扉を開ければ、そこは、違う世界。

 

入口があれば、どこかに出口があるはず。

 

幽霊なんて、所詮は、元人間。

 

生きている人間を、ナメんなよ。

 

 

…かかってきやがれ、ウスラ悪霊ども!

 

 

 

映画 「52ヘルツのクジラたち」

言いたい、聞きたい、わかってあげたい。…どんな誰よりも。

 

 

 

「ヘルツ」(Hz)は、周波数の単位。一秒間に何回振動するかを表します。

 

ラジオや通信などで、特定の周波数を扱うことで、交信することができます。

 

送信側と受信側がシンクロし合って初めて、ちょうどいい関係ができるんですね。

 

 

人間の可聴範囲は、20~20000ヘルツなのに対し、(←工業高校で習った)

 

クジラの場合は、10~39ヘルツくらいらしいです。

 

52ヘルツというのは、人間にとっては低周波だけど、クジラにとってはかなりの高周波。

 

仲間には聞こえない音で鳴く気持ちって、何だか切ない…

 

 

 

孤独であり、ごく限られた者しか、彼らの声を聞くことができない。

 

人間の、心の声も、ぞんな性質のものなのかもしれませんね。

 

 

 

 

主人公は、海辺が見える一軒家に、ひとりで引っ越して来た若い女性。

 

近所の人から奇異な目で見られながら、ひっそりと暮らしていると、

 

海岸で、ひとりの子供に出会います。

 

 

彼女はかつて、義理の父を介護していた。(今どきは、ヤングケアラーと言われるらしい)

 

母親はいるけど、介護は娘に任せきりで、気に食わないと、怒る・わめく・殴るが止まらない。

 

ある日、食事の介助中に、義父が誤嚥。救急搬送されたことで、母親の怒りが爆発。

 

お父さんを殺す気か!お前が死ねばいいんだ!と情け容赦のない言葉を浴びせられてしまう。

 

腫れ上がった顔で呆然と歩く彼女…そこへトラックが!

 

轢かれそうになった瞬間、間一髪のところで、ある青年に助けられる。

 

彼は、彼女の状態が尋常じゃないことを察し、何とか、力になりたいと思うのであった。

 

 

 

映画は、現在と過去が、交互に語られるスタイル。

 

物語が進むにつれて、時間の差が縮まっていくことで、細かい要素が明らかになっていきます。

 

さて一体、彼女の身に、何があったのでしょうか。

 

 

 

 

主演は、杉咲花。今回も、芯の強い演技が光っています。

 

彼女を初めて見たのは、「吉祥天女」で、本仮屋ユイカの少女時代だったような気がします。

 

一番インパクトを受けたのは、「ネオウルトラQ」で、宇宙生物に体を乗っ取られた女の子の役。

 

自分の運命を受け入れる覚悟を決めて、苦しみに耐えている姿が、とても印象に残りました。

 

「十二人の死にたい子どもたち」では、ロン毛で威圧的な女子を演じ、

 

「楽園」で、過去のトラウマに耐える女子、「青くて痛くて痛い」では、思わせぶりな女子、

 

アニメ映画「メアリと魔女の花」は、あわて者ぶりがとてもかわいかった。

 

 

役柄もそうなんだけど、ヘアスタイルを変えることで、さらに役になり切っているような感じがある。

 

本作でも、その時の状況によって、色んな服装や髪型にチェンジしているのが楽しい見どころの1つ。

 

彼女の、演技の幅が、作品ごとに広がっていきますね。

 

 

 

さて、志尊淳。トッキュウジャーの、トッキュウ1号。

 

NHKドラマの「らんまん」で、神木隆之介とバディを組んだのが有名。(たけお~ まんたろう~)

 

俺は映画だと「さんかく窓の外側は夜」「キネマの神様」くらいしか見ていないので、まだ未知数。

 

印象としては、ナイーブな演技ができる俳優、というイメージでとらえています。

 

 

アクティブな杉咲に対して、静かに粛々と、彼なりの演技を披露します。

 

このアンバランスな関係性が、物語を深いものにしていくんですね。

 

助けられた側の彼女は、だんだんと生き生きしていくのに、

 

助けた側の彼は、何故かとても、深い闇を抱えている様子…

 

 

ふたりの関係を、じっくりとご覧下さい。

 

 

 

 

原作は、町田そのこの同名小説。(本屋大賞受賞作)

 

たぶん、小説だともっと繊細なんだろうな、と思うんですが、

 

監督が成島出なので、映画は、アプローチが、かなり強めかな、と感じました。

 

だって、「ラブファイト」「八日目の蝉」のおっちゃんだし、もう60代だし。

 

 

「夜明けのすべて」のような、デリケートな演出ではなく、わりとダイナミックでストレート。

 

なので、心を病んでいる人には、少々キツいかもしれませんのでご注意。

 

もともと生命力が強い人が、一時的にうつ状態になるのと、

 

生命力が弱くて、なるべくして心を病んでしまうのとでは、心のホームポジションがまるで違うもんね。

 

 

たまたま、助けられる状態だった時に、何とかうまく、助けることができた。

 

たまたま、弱っていた状態の時に助けられて、生きる力を回復することができた。

 

だからといって、助けた側が強い人間で、助けられた側が弱い人間、というわけでもない。

 

人間というのは、そんなに単純じゃありませんから。

 

(俺も、このことでは、さんざん苦悩してきたからなあ)

 

 

 

 

志尊くんは、微妙なトーンで、彼の切ない生き方を、渾身の演技で表現しています。

 

それは、静かに、脈々と、粛々と、少しずつ、積み重ねられてきたもの。

 

どう見えるかは、観客に委ねられるし、映画の中の、彼女に委ねられる。

 

彼はただ、彼女に、幸せになって欲しかった。

 

だけど、自分には…

 

 

彼の母親を演じるのは、余貴美子。

 

もう、このお母さんを見るだけで、俺は泣けてきますわ~

 

 

 

 

 

 

世の中には、色んな人間がいます。本作にも、色んなタイプの人が登場します。

 

人の気持ちが理解できる人と、全く理解できない人。

 

いや、理解しようとする人と、理解しようとも思わない人、と言うべきか。

 

理解しているはずが、できていなかったり、

 

理解してくれていたものと思っていたり…

 

ああ、面倒くさいなあ、人間って。

 

そもそも、100%理解なんてできないんだけど、

 

一部分でいいから、わかってあげたいし、わかって欲しいと思う自分がいます。

 

 

 

 

人を助けることは、ごく自然なこと。

 

彼女は、彼に助けられなかったら、もう、生きていなかったかもしれない。

 

だから、助けられて、よかったのだ。

 

彼もまた、彼女を助けて、よかったのだ。

 

 

 

せっかく助けてもらったのだから、今度は、彼女が、この子を助けたい、と感じた。

 

周りが何と言おうと、何とか、人間らしく生きられるようにしてあげたい、と思った。

 

そう考えて行動する彼女は、そうすることで、彼女自身の人生を、しっかり生きようとしている。

 

彼から教わった、大切なことだから。

 

ふたりが出会えた、証しだから。

 

 

 

悲しみの連鎖があれば、喜びの連鎖があってもいいはず。

 

悪循環があれば、好循環があってもいいはず。

 

悪いことがたくさんあったからこそ、いいことがあった時の喜びは、一層大きいのだ。

 

 

こんな世の中だからこそ、誰かと心を、分かち合いたい。

 

聞いて欲しいことを、ちゃんと聞いてあげたいし、

 

話したいことを、ちゃんと聞いてもらいたい。

 

同じ周波数で、共鳴し合って、お互いの、生きる力が増すように。

 

 

 

今日もしっかりと、伝え合いましょう。

 

今日という日を、自分らしく生きましょう。

 

 

…52ヘルツで哭いている、誰かの声に耳をすませて。

 

 

 

 

 

 

 

アカデミー賞。

やはり、「オッペンハイマー」がすごそうですね。

 

今月29日に公開らしいので、早めに見に行くつもりです。

 

 

「ゴジラー1.0」が視覚効果賞を受賞したのが、何より嬉しい。

 

「君たちはどう生きるか」も、長編アニメーション賞で、宮さんが2度目の受賞。

 

おめでとうございます。日本人の皆様、共に喜びを分かち合いましょう。

 

 

 

「哀れなるものたち」のエマ・ストーンが、主演女優賞!素晴らしい!

 

あれだけ体当たりで役をこなした彼女は、女優魂の塊りのような存在と言っていいでしょう。

 

この映画は、美術賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞にも輝いているので、

 

この、豪華絢爛な異世界を、色んな人に楽しんでもらいたいです。

 

 

そして、「落下の解剖学」が、脚本賞を受賞。これも素晴らしい!

 

ジュスティーユ・トリエ監督と、実生活のパートナーであるアルチュール・アラリの共作。

 

オリジナルのストーリーに与えられるこの栄誉は、優れた物語である証し。

 

 

「PERFECT DAYS」は受賞を逃しましたが、他でいっぱいもらってるからいいでしょう。

 

国際長編映画賞に輝いたのは、「関心領域」。これにもザンドラ・ヒュラーが主演らしいので、

 

絶対見に行くつもりです。

 

「落下の解剖学」の時に、予告編が流れていたから、もうすぐ公開かな?

 

 

 

 

 

 

俺は、月曜日の夜にさしみを買って来て、個人的に祝杯をあげました。

 

で、それで飽き足らず、そのまま外に飲みに行っちゃいました。

 

アメリカのアカデミー賞は、映画ファンをわくわくさせてくれます。

 

もちろん、三大映画祭もそうなんですが、世代的にやっぱりこれが気になっちゃう。

 

日本アカデミー賞も、ゴールデンラズベリー賞も、受傷者の皆様、おめでとうございます。

 

そして、いい仕事をなさっている、世界中の映画人の皆様に、惜しみない拍手を贈ります。

 

 

 

 

今日は休日なので、これから映画館に。

 

見終わったら、また記事でご紹介しますので、期待しないで、お待ち下さい。

 

 

 

 

鳥山明先生、TARAKOさんが死去

中学生の時に、少年ジャンプで「Dr.スランプ」が始まって、

 

その、すごい画力に、目が釘付けになったのをよく覚えています。

 

 

家庭環境が悪かった俺にとって、ペンギン村は、実に平和で、のどかで…

 

こんな、楽園みたいなところが、この世にあったらなあ、と望まずにはいられなかった。

 

ちなみに、俺が好きなキャラは、皿田きのこです。声はたしか、杉山佳寿子。

 

ナウなギャルは、ココを刈り上げて、ラークを吸うのよ、ってね。

 

 

 

俺が小田原に住んでいる時に、「ちびまる子」が放映開始。

 

オバチャンのような小学生の、クールな語り口が、絶大な魅力を放っておりました。

 

タッタタラリラ~を叫んでいたのは、ブルースシンガーの近藤房之助。そ~んなの~常識~♪

 

TARAKOさんは、「戦闘メカ ザブングル」のチルで名前を覚えました。

 

パトレイバーの進士さんの奥さん、みかん絵日記、まじかるタルるーとくん、とかあったっけ。

 

最近は、新製品が安い、とか、よ~く考えよう~保険は大事だよ~のCMがありましたね。

 

 

 

 

 

マンガもアニメも、俺が子供の頃は、見るとバカになるぞ、と大人から脅されてた。

 

もともと俺はバカだから、一周回って天才になったりして、何て思ったり。

 

ダメだと言われると、ますます夢中になるもんです。弱虫の、ささやかな抵抗。

 

アニメソング聴いてると、お前は小学生か、と見下されたもんです。

 

 

 

いつの間にか、日本のマンガとアニメは、世界の最先端になっていました。

 

子供の頃に、自分が面白いと思ったものの価値が、認められるようになったのは、嬉しい。

 

 

 

 

 

 

あの時代を牽引してくれた、人生の先輩たちが、次々と、旅立っていく。

 

彼らの優れた仕事は、俺らが語り継いで、次の世代へつないでいく。

 

 

 

おふたりとも、おつかれさまでした。

 

いい作品に出会うことができて、感謝しております。

 

おかげで、暗い劣悪な環境を、乗り切ることができました。

 

 

これから、世界中の後継者たちが、心地よい世界を作り続けてくれることでしょう。

 

 

安らかに。

 

合掌。

 

 

 

映画 「ドッグマン」

生きることは、痛みに耐え続けることである。

 

 

何だろう、この気持ち。

 

映画を見てからもう2日経つんですが、

 

いまだに、体の芯が熱い状態が続いています。

 

 

リュック・ベッソン監督・脚本最新作。いよっ、待ってました!

 

能登半島地震の被害で、ずっと営業を停止していた、

 

イオンシネマ新潟西が復活してくれたことも、二重に嬉しい。

 

 

さあ、ドッグマン。ドッグマンって一体、何でしょうね。

 

びっくりしますよ~ (淀川さん風)

 

 

 

 

 

冒頭、深夜にパトカーに停車させられた、謎の怪しい車。

 

運転席に乗っていたは、女装した男。しかも、メイクがぐちゃぐちゃの状態。

 

免許証は? と聞かれ、慌てて出て来たから、持ってこなかったわ、と。

 

不審に思った警官が荷台を開けると、無数のわんこがびっしり、静かに乗っていた。

 

 

 

映画は、警察に拘束された主人公が、取り調べを受けるのを軸に、

 

彼の今までの過去が描かれていくスタイル。

 

なぜ彼は、女装して、わんこをたくさん車に乗せて走っていたのだろう。

 

 

 

実は俺、この映画に、勝手に先入観を持っていました。

 

わんこたちを自由に操る、ゲイの物語だろう、と。

 

大変失礼しました。お恥ずかしい限りです。

 

 

彼は、いたってノーマルで、普通の少年と変わりなかった。

 

しかし、彼の家庭環境がひどかったことが、彼の人生に影を落とすことに。

 

特に、父親と兄が凶悪で、彼は、始終、なぶりものにされている状態であった。

 

 

ある日、ついに彼が殺されそうになった時、彼の命を救ったのは…?

 

 

 

本作は、絶体絶命の状態に追い込まれた者が、

 

這い上がって、ギリギリのところで戦い続ける姿を描いています。

 

彼の境遇は気の毒だけど、かわいそう、と単純に思うなかれ。

 

彼は、自分のできる限りの知恵と努力と勇気で、困難と外敵に立ち向かうのだ。

 

自分の持てる力を最大限に発揮するためには、協力者が必要。

 

それが、わんこたちなのです。

 

 

どうやって、彼がわんこたちと絆を結んでいくかは、映画をご覧あれ。

 

 

「落下の解剖学」にも、「枯れ葉」にも、わんこが重要な役割で登場していた。

 

そして本作こそは、わんこ映画の決定版。

 

PG12だけど、子供たちにもガンガン見せてあげたい。

 

特に、現役でいじめを受けている人は、この映画で魂を燃やして欲しい。

 

 

 

音楽はもちろん、エリック・セラ。

 

ベッソンの、光と音のアートな映像美を、彼の音楽が彩ります。

 

挿入曲の選曲がこれまた絶妙で、ビンビンにナイス。

 

「ゴッドファーザー愛のテーマ」が切なく流れ、

 

ユーリズミックスの「スウィートドリームス」は、職探しのテーマ(笑)。

 

そして、潜入シーンで流れる、マイルスデイビスの「SO WHAT」が圧巻。

 

名曲の数々が、ドラマチックな名場面とともに、全身を興奮に誘います。

 

 

 

 

映画に出てくる家族構成は、父親、母親、兄、そして主人公が弟という、4人家族。

 

たまたまですが、俺の家族構成と全く同じ。

 

で、父親が虐待の主犯で、母親は優しいけど言いなり。

 

兄は小心者で、弟をいじめて楽しんで、すぐに親に告げ口する卑怯者…

 

 

この構図は、俺が味わった環境と、全く同じなんですわ。

 

家族で一番弱い立場である自分には、発言権もなく、一方的に虐げられるだけ。

 

そういう桑畑少年の魂を救ったのが、映画の世界だったわけです。

 

(何度も同じ話しちゃってすいません)

 

 

 

彼には、救いがない。味方もいない。

 

友達もいなければ、未来の希望もない。

 

そんな彼に寄り添ってくれる、唯一の仲間が、わんこたちであった。

 

 

彼は、生き地獄から抜け出すことができたけど、

 

身体に障害が残り、車椅子の人生を送ることになります。

 

しかし、彼は、全く行動できない人間ではない。

 

そして、彼を助けてくれる、わんこたちがいる。

 

そしてさらに、職場で出会った仲間たちが、彼を認めてくれている。

 

 

次々と、彼に襲い掛かる、闇の無法者たち。

 

彼は、彼のやり方で、ひとり、またひとりと倒していく。

 

この生き方は、ずっとは続けられない。

 

そんなことは、わかっている。

 

ただ、今は、今だけは… 静かな時間を、少しでも長く味わっていたい。

 

 

悲痛な心の叫びが、痛ぶられ続けられた魂が、遠吠えになって、闇夜にしみわたる。

 

ジョーカーも、キャットウーマンも、地獄からの絶叫で、新しい自分に生まれ変わった。

 

 

 

我が名は、ドッグマン。

 

誰が呼んだか、ドッグマン。

 

流れ星銀のような、プロわんこ集団を率いる、キングオブ・野良わんこ。

 

 

 

生きることは、痛みに耐え続けること。

 

悪者たちをじっと睨めば、正義の傷が疼きまくる。

 

人には、牙がない。

 

だから、牙を持つ者が、彼の友となり、共に戦うのだ。

 

 

敵が来たぞ。

 

みんな、配置につけ。

 

3、2、1、OK、レッツGO。

 

 

…ウォォォォォォォォォォ~ン! (WAR)

 

 

 

 

 

映画 「枯れ葉」

落ち着いて、静かに、自分の周りをよく見てみよう。

 

 

極上の映画に、感無量でした~ ああ、ウルウル。

 

俺が敬愛する、フィンランドの巨匠・アキ・カウリスマキ監督最新作。

 

「希望のかなた」で引退宣言をした彼ですが、ちゃっかり復活。

 

これでもう20本目だそうですが、やっぱり彼の映画は素晴らしいです。

 

今までの人生の中で、彼の映画に、何度命を救われたことか。

 

誰が何と言おうと、俺は生涯、彼の作品を愛し続ける所存でございます。

 

 

この映画は、窮地に追い込まれて、もがいている正直者たちに捧げたい1本。

 

 

 

舞台はもちろん、ヘルシンキ。

 

主人公は、スーパーで働く女性。

 

ある日、彼女は、賞味期限切れの商品を持ち帰ったことを責められ、クビになってしまう。

 

新しい仕事を探すも、またトラブルが起きて、路頭に迷うことに。

 

そんな時、飲み屋で出会った男に、声をかけられる…

 

 

ああ、今回も、いい感じで物語が始まりますねえ~

 

俺、こういうシチュエーション、大好きですわ~

 

 

たぶん、若い世代には、とっつきにくい世界かもしれませんが、

 

俺にとっては、実に居心地がいい世界なんです。

 

まるで、昭和の頃にタイムスリップしたみたいな、ユルくてシビアな、大人の世界。

 

子供の頃に、こういう大人に囲まれて育ったら、俺の人生も違うものになったかも。

 

 

彼の映画に出てくる人たちは、みんな、自分に正直に生きていて、弱い者に優しい。

 

時にはいじらしく、時にはじれったく、実に人間らしく、人間くさい。

 

基本、無表情と最小限の台詞で、感情を巧みに表現しているところがスゴい。

 

 

今回は何と、ケータイが登場します! すげえ。

 

とはいえ、スマホではなく、ガラケーのようですが。

 

そして、ネットカフェも… おっとっと。

 

カウリスマキファンの方には、刺激的かも。これ以上は言えません。

 

 

 

しかし、フィンランドって、いい国なんだなあ、って。

 

わかんないけど、あこがれの国ではあるんです。

 

「牧場の少女カトリ」では、シベリウスの「フィンランディア」が使われていたっけ。

 

アキ監督も、日本に親しみを感じているようで、

 

「過去のない男」では、主人公が食堂車で、日本酒と寿司をいただくシーンで、

 

クレイジーケンバンドの曲を使用したことは有名ですよね。

 

(なんでまたあの曲だったのかは、深読みしたくなりますが)

 

 

とにかく彼は、色んな音楽を楽しんでいる感があって、

 

本作でも、その感受性が遺憾なく発揮されております。

 

 

シューベルトのセレナーデ、いい選曲ですね。

 

俺、春になると、シューベルト聞きたくなっちゃうので、ちょうどよかったタイムリー。

 

(8時だよ全員集合のアレですな)

 

 

劇中に出てくる情景が、いちいち、昭和っぽくて素敵。

 

カラオケがある飲み屋が、いい感じ~ ここで飲みてえ!

 

デンモクじゃなくて、紙の本なところがいい。(しかもうすい!笑)

 

 

そして、男たちの、飲みっぷりがいい!

 

タバコの吸いっぷりがいい!

 

ポイ捨てするわ、ゴミは分別しねえわ、もう、無法地帯。

 

(この時点で、若者のみなさんはドン引きですわなぁ)

 

 

でもね、ウクライナの情勢を、ちゃんと日常に取り入れているんです。

 

TVは、登場しません。ラジオだけ。

 

だからこれ、今の時代を描いている、最新作なんですわ。絶対。

 

 

「うつ」を、笑い飛ばすギャグセンスは、お見事でした。

 

循環論法かあ、こいつは飲み屋トークに使えそうですわ。

 

ユーモアの達人は、やっぱり切り口が一味違いますね。

 

 

 

 

アキ監督の世界は、素晴らしい。

 

アキ監督の世界の住人は、あたたかくて、ぬくもりがある。

 

アキ監督の最新作は、枯れ葉。

 

アキだけに、秋。

 

四季でいうと、3番目。

 

人間でいうと、熟成された時期。

 

そういう時が、人として、男として女として、一番魅力的なのかもしれない。

 

 

考えてみれば、彼の映画の主人公の男は、綺麗なイケメンじゃない。

 

女性も、シンプルで飾り気のない、ピュアな存在。

 

ただ、ひたむきに、自分らしく生きようとしている、独特のオーラがあるんです。

 

 

だから、ちょっと微笑んだだけで、魅力が全開。

 

男性諸君、女子の輝く瞬間を、見逃すなかれ。

 

女性のみなさんもまた、男の輝く瞬間を、どうかお見逃しなく。

 

 

何だかまるで、思春期向けの恋愛教科書みたいですね。

 

 

ある意味それは、当たっているのかも。

 

 

 

今まで、恋に無縁だった人が、ほんの少し、ときめいてくれたら。

 

今まで、ひどい目に遭い続けた人に、一筋の希望を届けられたら。

 

彼の映画には、そういう、ひだまりのような心地よさがあるのです。

 

 

 

 

 

俺、映画館で映画を見るようになって、もう50年以上になりますが、

 

映画は、やめられませんね~

 

特に、こういう作品に出会っちゃうと、ますます、ぐいぐいと。

 

 

 

 

 

成熟 → 円熟 → 極み。

 

年を重ねる度に、新しい景色が見えてくる。

 

きっと、視点が変わるからなんでしょうね。

 

 

追いつめられると、視野が狭くなる。

 

視野が狭くなると、同じ思考がグルグルグル。

 

抜け出せない地獄が、堂々巡り。

 

 

 

だけど、ほんのちょっと、誰かから、あたたかい言葉をかけられると、

 

その瞬間、すうっと、気分が楽になったりするんですよね。

 

それは、狙ってやってるんじゃなく、あくまでも、無意識で、さり気ないもの。

 

 

カウリスマキ作品には、ジャンルのカテゴリーがあるらしい。

 

労働三部作とか、敗者三部作とか、難民三部作とか、俺にとってはどうでもいい。

 

彼の作品は、皆等しく、弱い者に対しての優しさに満ち溢れている。

 

そして、その “弱い者” は、本当は、芯が強いのだ。

 

自分に余裕がなくても、自分より困っている者がいたら、放っておけない…

 

ああ、何て、心にしみるんだろう。

 

 

こういう人たちがいてくれるからこそ、未来に希望が持てるような気がするんだなあ。

 

 

 

 

この映画でも、わんこが、なかなかのいいポジション。

 

このわんこもまた、いい仕事してますなあ。

 

男女のすれ違いやら勘違いやら、何とも言えない空気を、見事に中和してくれます。

 

 

劇中に登場する若いおねえちゃんのバンドも、すごく面白かった。(無表情がナイスです)

 

カウリスマキ監督の、音楽のセンスが絶妙で、いつも楽しませてもらってます。

 

 

そしてエンディングは…おお、やっぱりこの曲ですなあ。いい感じ。

 

 

ウッディ・アレンとは違う。

 

ジム・ジャームッシュとも違う。 (→劇中にリスペクトが!)

 

ロバート・アルトマンとも違う。

 

 

アキ・カウリスマキ印の、正真正銘の彼の、

 

優しくてあたたかい、コメディタッチの恋愛物語を、存分にお楽しみ下さい。

 

 

映画館を出た後は、自分の周りを、よく、見渡してみましょう。

 

自分に、優しくしてくれる人。

 

自分が、優しくしてあげたくなる人。

 

そこから、新しい物語が始まるかも。

 

 

 

 

パンフレットに記述されていた、監督の言葉で、この記事を終わります。

 

 

『…愛を、もう一度勝たせてやろう。』

 

 

 

 

 

 

映画 「落下の解剖学」

言葉の向こう側にある、ドロドロした黒いものが…

 

 

カンヌ映画祭で、フランス映画がパルム・ドールを受賞。

 

監督・脚本は、ジュスティーヌ・トリエ。

 

主演は、ドイツの女優、ザンドラ・ヒュー。

 

45歳の2人の女性は、すごい映画を産み落としました。

 

 

人里離れた、雪山の山荘で、男性の死体が。

 

状況からすると、2階の窓から落下したらしい。

 

そこにいたのは、妻のサンドラ、息子のダニエル、わんこ。

 

他殺の可能性があるとして、法廷で謎を解いていくことになります。

 

 

 

事象は、いたってシンプルなんですが、

 

事情は、かなり複雑らしい。

 

どこの家庭でも、夫婦の行き違いはあるけど、

 

自殺や殺人に発展しまうのは、穏やかじゃない。

 

どちらかが寄り添ったり折れたりして、何とか均衡を保とうとしても、

 

一方があまりにも横暴でわがままだと、限界が来てしまう。

 

 

たぶん、こうなんじゃないか、と思って見ていると、

 

次の場面では、まるで違う方向からの視点が出てきて、

 

自分の先入観を恥じてしまうこともしばしば。

 

 

そうなのだ。

 

この映画は、人の先入観や、偏見、思い込みを鋭く切り刻んでいく。

 

自分が思っていたことをくつがえされると、

 

人は、すごい早さで思考を転換して、てのひらを返してしまう。

 

 

これが、恐ろしい。

 

 

自分は、そっち側ではなくて、こっち側の人間だよ、と、すかさず主張する。

 

実は、最初からおかしいと思ってたんだわ、って。

 

 

検事も、弁護士も、証人も、裁判長も、みんな怪しい存在に思えてくる…

 

 

唯一、盲目の息子ダニエルだけは、純粋な真実を話してくれるんじゃないかと思う。

 

忠実なわんこだけは、澄んだ魂の持ち主であって欲しいと、臨まずにはいられない。

 

 

はたして、どうか。

 

そこは、さすがフランス。

 

 

俺は、映画が終わって、大きく反り返りました。

 

そう来たか…

 

 

 

これ、なかなかの傑作だと思います。

 

ただ。2時間半もあるので、疲れますが。

 

でもね、人間の心を解剖しようとしたら、

 

人の気持ちを洗いざらい聞こうとしたら、一日あったって足りないです。

 

人間の命の重さは、ファスト映画みたいにコンパクトにできませんから。

 

 

わんこが、なかなかの名演。

 

かわいいんだか、かわいくないんだか、微妙な風貌がいいですね。

 

(ちなみに、カンヌでパルムドッグを受賞したらしいです)

 

彼の演技もまた、家族間のバランスや細かい状況を表すキーポイントでもあるんですね。

 

 

ああ、幾通りもの、ストーリー展開が浮かんでくる。

 

ダンナが死んでしまう前に、いったい何があったんだろう?

 

 

 

観客は、この家族に釘付けになります。

 

死ぬ前に、こんな風に周りが関心を持って接してくれていたら、

 

彼は、死なずにすんだかもしれない。

 

センセーショナルな死に方をしたから、注目されただけのこと。

 

 

誰ひとり、本当にこの家族のことを案じている人はいないんじゃないか…

 

 

 

映画を見終わった後の余韻が、ヤバい。

 

本作は、うつの人にはオススメできません。

 

でも、人の心の何たるかを、真剣に考えてみたい冒険者には、いい教材になるでしょう。

 

 

 

悪いことは、自分以外の、誰かのせい。

 

いいことは、自分の存在があったからこそ。

 

無意識に、そう振る舞おうとしている心が、見苦しい。

 

 

 

人は、都合が悪なると、とっさに嘘をつく。

 

言い訳、弁解、なすりつけ。

 

主観と客観が入り乱れ、思い込みが錯綜しているさなかでは、

 

しばしば、声の大きい奴が勝ってしまう。

 

口下手な者と、饒舌な者が言い争えば、口数の多い方が勝っちゃう世の中。

 

 

相手を黙らせることが、勝利ってわけじゃないのにね…

 

 

 

 

満面の笑みで流暢に語るサンドラが、怖い。

 

彼女が笑えば笑うほど、ドス黒いドロドロした塊りが、迫ってくる。

 

自分は正しいと信じ込んでいる、特徴的な話し方に、戦慄を覚えずにいられない。

 

 

 

まるで、俺の父親のようであった。

 

被害者ぶった、極悪の加害者…

 

 

 

 

 

人のせいにしていれば、自分には責任がないと思っているから、始末が悪い。

 

誰かが言ってあげないと、気がつかない。

 

言ってあげたところで、ますます意固地になるだけだけど。

 

誰かを正すのは、誰の役割なのか。

 

正しいと信じている、歪んだ心に、誰がリードを付けてあげられるのか。

 

 

 

黙っていたら、いいようにされてしまう。

 

だから、生きるために、戦わなくてはならない。

 

俺もそうやって、家族や友達という負の呪縛と戦い続け、

 

大人になる頃には、すっかりボロボロになっていた。

 

ここまで生きてこられたことは、ホントに奇跡だと思っています。

 

 

 

 

 

ダニエルが、不憫でならない。

 

少年のピュアな心は、ズタズタに切り刻まれてしまった。

 

彼は、賢いから、余計に気になってしまう。

 

俺は、彼にどう声をかけたらいいのか、正直、わからない。

 

それはきっと、彼をずっとそばで見ていた、わんこにしか理解できない。

 

 

 

 

人は、怖い。

 

怖いからといって、無関心ではいられない。

 

誰も、ひとりでは生きられない。

 

人はどこまで、他者に関与すべきなのだろう。

 

 

 

映画は問う。

 

…あなたなら、どうしますか。

 

 

 

 

映画 「コヴェナント 約束の救出」

男が暴走する時には、必ず理由がある。

 

 

ガイ・リッチー作品、久々でわくわく。

 

製作・監督・脚本をこなし、堂々の現役ぶりです。

 

 

舞台は、2018年のアフガニスタンの戦場。

 

主人公は、爆薬兵器工場を探す部隊を指揮する曹長。

 

彼の部隊に、新しい通訳の男が加わるところから、物語が始まります。

 

 

曹長を演じるのは、ジェイク・ギレンホール。

 

ブロークバックで、ナイトクローラーな、ギョロ目の兄ちゃんですな。

 

通訳を演じるのは、黒人俳優ダール・サリム。

 

2人とも、いい感じでヒゲをたくわえております。

 

この両者の駆け合いが、なかなかスリリングで面白い。

 

 

何しろ、現地の人間の言葉がわかるのが、この男しかいないんだから、

 

全然違う訳をされたら、部隊の命運にかかわる。

 

命令通りにやらない彼に業を煮やしながらも、曹長は、一目置くことになります。

 

 

ある日、情報を得て、部隊は、兵器工場をついに見つける。

 

しかし、タリバンの激しい反撃を受け、犠牲者がどんどん出ていく。

 

はたして、彼らの運命は…?

 

 

 

 

 

「covenant」は、「誓約、契約、約束」という意味。

 

神と人間とか、厳粛な意味で使われる言葉みたい。

 

聖書に出てくる「契約の箱」は、「Ark of the covenant」と表記。

 

「レイダース 失われたアーク」で有名な、十戒の石板が入っている箱ですね。

 

ちなみに単独だと「箱舟」。 ノアの箱舟は「Noah’s Ark」になります。

 

(アドバンストフェイバリット英和辞典より)

 

 

 

 

この映画で言うところの「約束」は、単なる人同士のそれではなく、

 

自分自身が、オレがこう決めたんだから、絶対やる!的な要素が強い。

 

誰かから強制されたからじゃない。

 

そうせずには、いられない。

 

そういう、強い求心力を、画面から感じるのです。

 

 

「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」のバディもそうでしたが、

 

これは、濃い関係で結ばれた、ふたりの物語。

 

友情、なんて単純なレベルではなく、

 

人として、男として、突き動かされるように、深く心に刻まれていくのです。

 

 

緊迫感のさなかに、ほんのちょっぴり、ユーモアがあるシーンがあって、思わずクスリ。

 

ああもう、彼らの絆は、決して揺るがない。絶大なる信頼関係。

 

 

 

違う国。

 

違う人種。

 

違う立場。

 

違う考え方。

 

同じじゃなきゃ嫌だ、という者がいれば、

 

違うからこそ、いい、という者もいる。

 

永遠に憎しみ合う関係もあれば、

 

ずっと仲良くできる関係も、きっとある。

 

戦争は、起きてしまうものだけど、

 

仲良くしたがっている人は、普通にたくさんいるから。

 

 

男、ガイ・リッチー。いい感じで、暴走しております。

 

当たりハズレが多いことも、スパイスが効いていてよし。

 

「リボルバー」の、ロン毛のジェイソンが気持ち悪かったことは忘れましょう。

 

 

 

文句や不平を嘆くヒマがあったら、行動せよ。

 

自分のやるべきことが明確になっている奴は、ここぞという時に、強いのだ。

 

 

 

 

キャシャーンがやらねば、誰がやる。

 

誰かがこれを~ やらねばならぬ~ ←ヤマト

 

僕~が僕~であるために~ ←尾崎

 

 

自分で誓ったことは、成し遂げねば気がすまない。

 

これをやらずして、終われようか。

 

だから、やる。 誰にも文句は言わせない。

 

 

 

…今行くから、待ってろよ、相棒!

 

 

 

映画 「ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突」

熱い魂を左腕に込め、思いっ切り突き出せ!

 

 

今回のウルトラマンは、ウルトラ熱い。

 

隊長が変身するというのも新鮮だし、隊員の個性が面白い。

 

左右非対称のウルトラマンのデザインも、なかなか斬新でよろしい。

 

 

怪獣の残骸を処理する民間企業、ネクロマス社の研究所が襲われ、怪獣が出現。

 

しかも、社長の息子が怪獣の体内に取り込まれてしまう。

 

地球防衛軍日本支部の特殊部隊SKaRDが出動。

 

ウルトラマンとアースガロンが、怪獣に立ち向かう。

 

果たして、少年は救出できるのか? 怪獣は倒せるのか?

 

 

映画は、TVシリーズのおさらい名場面が流れた後、本編が始まります。

 

ちゃんと、OPの歌も出ますので、ちびっ子諸君は、一緒に歌いましょう。

 

上映時間は、1時間16分なので、実にコンパクト。それでいて、中身が濃い。

 

そして、エンドロールもまた、懐かしい映像が流れますので、お楽しみに。

 

 

 

しかしまあ、この隊長は、なかなか忙しい。

 

隊を指揮し、ウルトラマンになって戦い、多忙でなかなか帰れない。

 

家には、最愛の妻と息子が待っている…

 

もう、最終回が近いころには、ヘトヘトになっていましたな。

 

(まるで、セブンみたい)

 

でも、隊員たちや息子が成長していく姿に、力をもらうんですね。

 

 

彼の左腕には、ブレーザーブレスという、ブレスレットが備わっています。

 

ここに、ブレーザーストーンという、メダルを装着して、変身します。

 

さらに、彼の手首には、息子からもらった、手作りのブレスレットも…

 

この、ダブルブレスレットの力で、彼は戦うのです。

 

 

 

SKaRDは、略語ですが、Kaは、カイジュウの頭文字だそうで。

 

この部隊は、怪獣絡みなら何でも行動できる、すぐやる課、的なチーム。

 

隊長と、男子隊員2名と女子隊員2名の、計5名。

 

そして、23式特殊戦術機甲獣、アースガロン。

 

怪獣っぽいデザインの、スーパーロボットですな。

 

これ以外には、戦闘機もなく、移動は、ライトバン。

 

予算があるんだかないんだかわからんが、あとは、人力で戦うしかねえ。

 

それぞれのスキルを活かして、個性豊かな戦略を立てるのだ。

 

 

来場者プレゼントは、劇場限定のブレーザーストーン。俺は、アースガロンでした。

 

左腕のブレーザーブレスがパカッと開いて、そこにストーンを挿入すると、光を放つ。

 

左手を開いた状態で、前方に突き出すのが、変身ポーズ。

 

その向こう側から、ウルトラマンが右手を出して現れ、がっちりと、恋人つなぎ。

 

こうして、1つに結ばれた状態で、ウルトラマンブレーザーに変わるのです。

 

 

 

本作の見どころは、何と言っても、国会議事堂の前で戦うシーンでしょう。

 

ミニチュアセットのクオリティが、極めて高い。

 

ぶっ壊されて崩れる外壁の重量感は、特撮ファンにとっては、たまらない興奮度。

 

いやあ~ 日本の特撮は、やっぱりええなあ。これはぜひ、映画館で楽しみましょう。

 

 

 

「brazier」は、火鉢、焼肉用コンロという意味があるそうな。

 

(アドバンストフェイバリット英和辞典より)

 

なるほど、劇中で隊長が、終わったら焼肉食おうぜ、って言ってたなあ。

 

いやいやいや、ウルトラマン焼肉コンロ、って何だよ。違うでしょ。

 

だからたぶん、「blazar」の方でしょう。

 

ブラックホールがエネルギー源の、天体のことだそうで。←絶対こっちだわ

 

たしか、「冒険ロックバット」の友達が、ブレイザーだったよな。

 

鉄のプリンス、素敵な友達ブレイザー、ってね。(誰も知らないか)

 

声はたしか、飯塚昭三さんだったような…(誰も知らないってば)

 

 

 

とにかく、この物語は熱い。だから、映画も熱い。ヤケドすんなよ。

 

安易に、新しいウルトラマンを登場させたりしないし、武器もおんなじ。

 

しかし、各々が成長して、パワーアップしているのだ。それで充分。

 

隊長が育てた隊員は、みんな立派になって、強い力を発揮しています。

 

 

特筆すべきは、少年の台詞です。

 

怪獣に取り込まれた少年と、隊長の息子。

 

この2人の言葉が、心にささります。

 

大人のみなさんは、胸に手を当てて、考えましょう。

 

 

 

 

子供を大切にする心は、未来を守る力になる。

 

現状を嘆くだけでは、子供に未来を語れない。

 

大人には、大人としてのやるべきことがあり、

 

それを必死でがんばる姿から、子供は学んでいくのだ。

 

子供の純粋な瞳を、真っ直ぐな気持ちで見ることができる大人であれ。

 

 

手を伸ばせば、そこに、ウルトラマンがいる。

 

大切なものを、大切な人を守るため。みんなの笑顔を守るため。

 

ウルトラマンが助けたくなるような、自分でいたい。

 

ウルトラマンが守りたくなるような、地球人でありたい。

 

 

 

 

飛ばせ、レインボー光輪!

 

ぶった斬れ、チルソナイトソード!

 

…ウルトラ魂(ソウル)は、君の心とともにある。