映画 「リトル・リチャード アイ・アム・エヴリシング」
最後は、自己肯定感の強い者が勝つ。
伝説のロックンローラー、リトル・リチャードのドキュメント映画。
勉強のつもりで見に行ったんですが、なかなかよかったです。
監督は、リサ・コルテス。
出演は、リトル・リチャード、ポール・マッカートニー、ジョン・レノン(声のみ)、
ミック・ジャガ―、キース・リチャーズ、デヴィッド・ボウイ、トム・ジョーンズ…
うっはー、ものすごい人たちばっかり。
俺が、彼の楽曲を初めて知ったのは、映画「バック・ビート」。
1曲目に流れたのが、「グッド・ゴーリー・ミス・モーリー」でした。
この映画で使用されたのは、ビートルズのオリジナルではない曲ばかりなので、
逆に言えば、彼らがカバーした曲の学習になるんですね。
この曲があまりにもカッコいいので、サントラCDを買って聞いたら、
作った人は、リトル・リチャードという名前らしい、ということがわかりました。
それで、今度はリトル・リチャードのCDを入手して聞いてみると、
うわうわうわうわ、こりゃあすげえ!
どこから声を出してんだろうというくらいの、爆音!
車の中でさんざん流して、グッガァ~リミスマ~リイ!って熱唱していたっけなあ。
(ホントはモーリーなんだけど、マーリーだと思い込んでいたもんで)
「ロングトール・サリー」も「タクシーブルース」も好きだけど、
俺にはやっぱり、この曲が一番なんですわ。
映画の中でも、メチャメチャかっこええです。見に行ってよかった~
字幕監修は、ピーター・バラカン。
映画の中で、リチャード本人が、
自分のことを「ロックンロールの設計者」と言っているところが印象的でした。
日本人に理解できる言葉を、丁寧に選んでくれたのかなあ、って。
彼は、派手なパフォーマンスをする男でしたが、内面は、とてもナイーブ。
その繊細さが、新しい音楽性を生み、共感を呼ぶ。
マイノリティな人間が、だんだんと仲間を増やしていくところが、素晴らしい。
肌の色とか、性癖とか関係なく、人間の資質で勝負しているところが、カッコええ。
面白いこと、楽しいことを通して、大切なことを訴えていく、男の生き様を、とくとご覧あれ。
彼は、聖書を熟読していて、教会の活動にも熱心であった。
ロックンローラーであり、ゴスペルシンガーでもあり、宣教師でもあった。
そのマルチな才能は、まさに「天才」と言えるでしょう。
彼は自分のことを、神である、とも言っています。
おお、何という、ハイレベルな自己肯定なんでしょう。
そのくらい、彼は、自分のやっていることに、自信と誇りを持っていたと言えます。
実際、すげえんだもん、この人。
生きてるうちに伝記出すし、独自の聖書販売しているし、生きるために何でもやっちゃう。
彼のような男は、神も応援せざるを得ないでしょう。
神を信じる者は、自分を信じることを決して忘れないから。
そして、求めるべきものは求め、もらうものはもらう。
素晴らしい! 惚れ惚れするような、ロックな生き方!
彼は、2020年5月に、87歳で、この世を去りました。
幸せな人生だったと、俺は強く感じます。
こんなにがんばって生き抜いたからこそ、
彼が、彼であることを証明する生き方を貫いたからこそ、
この、精神領域にたどり着けたのだと思います。
おめでとうございます。リチャード。
この世に生まれてくれて、ありがとう。リチャード。
男として、人として、生き方を教えてくれて、感謝です。
鋭く優しい、あたたかみのあるピアノを弾きながら、
天国に向かう彼の姿が浮かび上がり、
タクシー、タクシー、タクシー、タクシーっていうブルースが聴こえてきます。
旧約聖書の創世記で、神がカインに、こんな言葉をかける場面があります。
『…正しい事をしているのでしたら、顔をあげたらよいでしょう。』
人生に行き詰った時、悔しい思いをした時、自分の中で迷子になっている時…
そんな時こそ、顔を上げて、デカい声で叫んでやりましょう。
…グッガァリミスマ~リイ!