映画 「劇場版 名探偵ホームズ デジタルリマスター版」
大人になってから見ると、感慨深い。 …なんとも、はや。
高校生の頃に夢中になった、あの名作が、スクリーンに蘇る。
ホームズ40周年という企画で、2週間限定だそうです。
来場者プレゼントで、ポストカードがもらえますので、ファンは急ぐべし。
「ナウシカ」の時の第一弾と、「ラピュタ」の時の第二弾を、一挙上映。
妻が広川太一郎のファンなので、2年半ぶりに一緒に映画館に行きました。
面白い~ 楽しい~ 優しくて、ワクワクドキドキな、珠玉の物語が4本!
広川さんの、い~い声が、久しぶりに劇場にこだましまくり。
自転車からジャンプして、飛行機にしがみつく。
跳ね橋から車でジャンプして、ポリーを救出!
手に汗握る、極上のアクションを、もう一度復習してみるのもよろしいかと。
原作は、コナン・ドイルの小説ですが、本作の物語は、ほとんどオリジナルらしい。
イタリアから発注依頼があって、制作をスタートしたところ、著作権やらでトラブルが起きて中断。
ドイルの母国がイギリスなので、戦争で戦った敵国である日本だと、面倒だったみたいですね。
(それが理由で、モリアーティがモロアッチ、ハドソン夫人がエリソン夫人だったりします)
一度はお蔵入りになったこの作品を、世に送り出すために貢献したのが、雑誌アニメージュ。
1984年公開の「風の谷のナウシカ」と同時上映されたことで、俺は初めて見ることができました。
満員で一回目の上映に入れなくて、外で3時間くらい待って、2回目に入れたことをよく覚えています。
それでも、初日に見ることができて、今では幸せな記憶として、心に刻んでおります。
その後、問題が解決して、TVシリーズがスタート。
放映が終了してから、1986年公開の「天空の城ラピュタ」で同時上映。
俺が新潟の映画館で見た時は、1本立てだったように記憶しているので、とても新鮮。
第一弾のホームズを演じるのは、柴田光彦。こちらもなかなかワイルドでカッコいいけど、
TVシリーズで演じた広川太一郎が、抜群にいい。第二弾は彼なので、ぜひ聴き比べて下さい。
ワトソンは、富田耕生。どちらもおんなじで、安心して見ていられます。
モリアーティ教授ももちろん、大塚周夫。い~い声です。
ハドソンさんは、第一弾だと信沢美恵子。第二弾だと麻上洋子。どちらもいい!
ラナ&フィオリーナと、森雪&ハルルの対決!こちらもすげえ豪華。
そして、レストレード警部は、飯塚昭三VS玄田哲章。俺は、飯塚さんの方が好み。
美人であります…と言って赤くなるところがお気に入り。さて、どっちが演じているかな?
さらに、ライサンダー大佐を演じた、永井一郎の熱弁にもご注目!
スタッフも、超豪華。
宮崎駿監督も大きく関わっていたけど、基本、当時の若手にやらせていたのが新鮮。
片渕須直、御厨恭介、そして、新潟県が誇る最高のアニメーター、近藤喜文!
(近藤さんは、「耳をすませば」で監督をした後、若くして亡くなりました)
そして、主題歌もいい。
桑名晴子の「冒険のアリバイ」が流れるバックで、「小さな依頼人」の名場面が流れる。
ダ・カーポの「空からこぼれたSTORY」は、妻の大好きな曲。
猫がのそのそ歩くラストも、味わい深くて素敵ですね。
ああ、こんなすごい作品を、10代でリアルタイムに見られたことを、幸運に感じています。
家庭環境がひどくて、暗い思春期を過ごした俺にとって、アニメーションは、ひとすじの光でした。
こんなに優しい大人が身近にいて、生き方を教えてくれたら、どんなによかっただろう。
だから俺は、映画で教わったことを勝手に学習し、生きる糧として、今日まで生き抜いてこられたのだ。
広川さんの、独特の口調がいい。何というか、気品があるんですね。
俺の親父の口調は薄汚くて、下品そのものだったから。憧れました。
彼の、ダジャレを交えた語りは、俺の、頑なな心をほぐしてくれたもんです。
(たしか、NHKFMで、「カムイの剣」のナレーションしてたっけなあ)
けっこう毛だらけ、猫灰だらけ。サハラ砂漠は砂だらけ。
(寅さんより上品な言い回しがクール)
ノンノ、君はホントに、してからにして~
なんともはや… いいんでないかい?
その彼が、あんにゃろめ、という奴が、宿敵・モリアーティ。
古代進にとっての、デスラー総統。
(そういえば、進のアニキの守は、広川さん)
モリアーティ。憎めない、愛すべき悪役キャラ。(バイキンマンとコラボしてほしい)
紫色の、狼のような風貌に、白いシルクハット&マントがトレードマーク。
ピンとしたヒゲに、片メガネが、知的なアクセント。
そして声は、大塚周夫。(大塚明夫は、彼の息子)
ルパン三世と、銭形警部。(パイロット版のルパンは、広川さん)
明智小五郎と、怪人二十面相。
ゴジラと、キングギドラ。(あるいはメカゴジラ)
スペクトルマンと、宇宙猿人ゴリ。
キカイダーと、ハカイダー。
ヤッターマンと、ドロンボー。
アムロと、シャア。
ああ、何て素敵な、運命的な関係なんでしょう。
トムとジェリー、なかよくけんかしな。
広川太一郎。永遠なれ。
「ムーミン」の、スノーク。
「あしたのジョー」の、カーロス・リベラ。
「MEZZO」の、黒川。
「ゲキレンジャー」の、タブー。
みんな違って、みんないい。
だって、広川さんが演じているんだもん。
知的で、ユーモアがあって、ダジャレまみれで、気品が漂う男。
こんな大人になりたいなあって思うけど、
育ちが悪いから、なれそうもない。
でも、そうありたいと思える、魅力的なレジェンド。
…生涯、憧れちゃったりしちゃったりなんかしちゃったりして~ この、どすこいが!