ネタバレDVD探検隊 ~超常現象編~ | 映画熱

ネタバレDVD探検隊 ~超常現象編~

この年末の忙しい時に、俺、まだこんなことやってます。あれから劇場映画は見に行っていないので、そっちの方はしばらくお待ち下さい。年末ランキングの集計もあるので、来週はバタバタしそう。その前に、心を整理する記事を、いくつか出しておきます。劇場映画の記事は、もう2~3日お待ちを。


今回探検するのは、超常現象。実はこの記事、だいぶ前から下書きしていたんですが、最近では国会議員がUFOの話題で盛り上がったりして、またしても絶妙なタイミングとなりました。幽霊、心霊写真、UFO、未確認生物、超能力…うふふ、ワクワクしますねえ。オヤジになっても、そういう少年の心は未だに捨てられません。


さて、世の中には超常現象を扱ったDVDが数多く出回っていますが、内容は実に様々。残念ながら低レベルのものが大半ですが、ジャンルがジャンルだけに、何でもアリということで。レンタルする人は、ある意味、覚悟すべし!




「心霊研究家 池田武央の霊怪巡礼 其ノ壱 ~悲劇の滝おいらん巡礼~」


何度か紹介した池田センセイの最新作。今回の肩書きは、いたって地味になりました。“心霊オーガナイザー” とはもう名乗らないのかな。“その1” なんてタイトルを見ると、これもシリーズ化する気まんまんみたい。


以前紹介したシリーズでは、霊感の強い女優とコンビでしたが、今回は、レポーターとして女の子が3人も登場。これくらい用意しないと、センセイは来てくれないんでしょう。…このスケベオヤジ。


で、そのセンセイ、なかなか登場しません。何をもったいぶっているんでしょうか。冒頭から出てくるのは、スキンヘッドの霊能者おじさん。彼が女の子とワイワイやりながら、心霊スポットの山を登っていきます。このおじさんも、おねーちゃんが好きみたい。まるでデート気分で盛り上がってます。途中、石段でよろける場面も。…あんた、大丈夫か?


夜になり、暗闇の中から突然、謎の男が出現。ぎゃあと悲鳴をあげる女の子。実は、彼こそが池田センセイであった。『…あんまり遅いからさあ、どうしようかと思ったよ。』 おおっと、いきなりタメ口かい!ははあ、コワモテの男が低姿勢になる男ってことで、貫禄をアピールする作戦ですね。この人はTVや雑誌で有名な先生なんだよ、と力説するおじさん。すっかり子分になっちゃいましたね。


かくして、いつもの実験が始まった。おなじみの秘密兵器・センサーボックスも登場。湿気でくもるガラスの模様が、人の顔に見えるといえば、見えなくもない…というレベルの、微妙なシロモノ。まあ、霊能力のある人が言うんだから、何かきてるんでしょう。紙袋に映った女性の横顔も、単なるシワにしか見えませんでしたが、気のせいでしょう。見る人が見れば、わかるんですね。奥が深い世界なんですね、センセイ。


結局、彼女自身に宿る霊が出てきて、暴れて鎮められて終了。心霊スポットの霊は脇役ですか。地元の霊も、もうちょっとがんばろうよ。心霊写真にバッチリ写ってやるとか、力いっぱい自己主張して下さいな。


新潟県佐渡島出身の霊能力者、池田武央センセイ。新潟県人として応援していますが、ちょっと不安なオヤジです。これからも、きっとこの調子でいくんだろうな。ま、ご自分のやり方を貫いてがんばって欲しいです。見つけたら、このコーナーで毎回紹介してあげましょう。ネタバレですが。




「怪怪怪 映像で見せる恐怖の実話怪談」


“かいかいかい” と読みます。「怪談新耳袋」 の中山市朗が監修した、怪談話DVD。これにもおねーちゃんがいっぱい出ます。その数、何と6人!これは池田センセイよりスゴい。おねーちゃん達の前で、葉巻を吸いながら、怪談を語るおっさん。


このDVD、再現VTRとかないので、ある意味新鮮。話の内容もけっこう面白いので、見たい人はレンタルして見てもいいでしょう。それでは華がないから、おねーちゃんを集めたのかも。売り出し中のタレントらしく、品がないのが多くて、ちょっとうっとうしかった。


できれば、この手の作品は、もの静かで聴き上手な女の子が1人いればいい。霊感なんかなくてもいいから、語り手が力入るような相手にすべきだ。男だってかまわないと思う。要は、現場の空気が作れればいいんだから。そういう点では、池田センセイの過去のDVDに出ていた女優(たしか、小川ちひろだったかな)は、おいしいポジションだったと思う。


いちいち、きゃあ、恐~いとか言わんでいい。青い服着た大阪弁の彼女が唯一聞き方がマシだったけど、後はダメ。で、雰囲気ブチこわしのおねーちゃんどもは、最後に心霊スポットでお仕置きされます。ははは、大変な仕事だったねえ。ご苦労様でした。




「実録!呪われたUFO体験 ─Xファイル─」


UFOって呪うの?…と思いきや、この作品には、UFOや宇宙人は一切出てこない。怪しい隣人とか、変なところに監禁されたとか、同僚が別人になったとか、そんなんばっかり。これでUFOモノと言い張る心臓も大したもんだ。


第1話のUMAが爆笑だった。車に轢かれてあっさり死んじゃうのは残念だったなあ。面白いキャラなので、シリーズ化して頂きたいところ。「サイン」 のあいつより魅力的ですよ。


他は、全部ショボいショートストーリーで、あくびが出るくらい退屈なシロモノでした。あのさあ、何でもかんでもUFOのせいにするのやめようよ。宇宙人の人権侵害だぞ!そういうわけで、本物の宇宙人のみなさん、がんばってUFOいっぱい飛ばして下さいな。応援します。



「NEOドキュメント・シリーズ ZONE 吸血獣人チュパゲラの逆襲」


特集取材5 最終決戦! チュパゲラの逆襲!!


チュパゲラって何だ?チュパカブラでも、チェ・ゲバラでもありません。総監修は及川中、演出は山本清史だそうな。これは、カルトな作品に違いない!しかも、いきなり5ってどうよ。こんなシリーズ、他に見当たらなかったぞ。


送られてきた投稿映像には、変な怪物が映っていた。それを、取材スタッフが勝手にチュパゲラ名づけたらしい。で、その問題の映像は…あらら、このショボい着ぐるみはナンだ?壁にもたれて、たそがれているコイツが、どうやら問題の生物らしい。この時点で、期待度がゼロ以下になりました。場所は、どこかの研究所だそうな。


白衣を着た男女が現れ、痴話ゲンカが始まる。男が女を組み伏せた瞬間、チュパゲラ君がのっそり立ち上がった!男を怪力で倒し、女を連れて逃亡! あ…これって、駆け落ち?チュパ君と白衣の女性は、仲良く行方不明になっっちゃいました。あら~、大変。


取材チームは、投稿者の女性にコンタクト。どうやらこの怪物、北朝鮮が依頼したメイド・イン・ジャパンらしい(爆笑)。もとは人間で、実験で怪物になったんだとか。まあ、どうでもいいけど。彼女をさらわれた男と共に、怪物を発見したとある島に捜索に向かった。…え、島?研究所で実験して生まれたんじゃないの?よそで見つけてさらって来たの?どうやって連れてきたの?いいかげんだなあ。さすが北朝鮮。


とある島って、どう見ても思いっきり日本じゃん!しかも、宿泊施設って、普通のアパートじゃん!ドライブして、海で遊んで、リラックスモード全開。 …「あいのり」 かよ!見ている側も、だんだんと怒りが込み上げてきたぞ。どうする気でしょうか。


で、道端であっさり彼女を発見。どうやら衰弱している様子。『…彼には私が必要なの!』 はあ、“彼”ってどうよ。と、そこへチュパ君登場。ああ、大変だ。考えてみれば、装備も武器も持ってきていなかった。どうするのかと思ったら、『…お前、彼女をこんな目にあわせて悪いと思わないのか!』 …なんと説得が始まった!


『…お前のおかげで、みんなひどい目にあっているんだぞ!お前のせいで、目の前で何人も人が死んでいったんだ!』 ディレクターの言葉の暴力を浴びせられ、怪獣は意気消沈していく。そうか、僕のせいで彼女はこんなことに…ああ、何だかかわいそうになってきた。


彼女は彼にすがりつく。『…この人を愛しているの!ずっと一緒にいるって約束したの!』 ディレクターは怪物に言う。『…無理だ。お前は獣で、この人は人間なんだよ!あきらめろ。彼女のことを思うなら、彼女から離れろ!』 それを聞いて、すごすごと立ち去るチュパ君。 『…イヤ!どこへ行くの?あたしを一人にしないでよ!』


何と、ついさっきまで超常現象ドキュメントだったのが、一瞬にして安いメロドラマになってしまった。ただ、相手が着ぐるみの怪獣だったというだけ。まあ、怪獣じゃしょうがないか…って何だよ、これ!


うなだれて去っていくいくチュパ君の背中をl見つめ、泣きじゃくる彼女。『…あいつだってつれえんだよ。お前、あいつがどんな気持ちで去っていくのか考えてやれよ!』 あのさあ、あんた、言っていることがメチャクチャですよ。ディレクターも完全にイッちゃってますなあ。ずっと取材して追いかけてきたわりには、実もフタもない言い方。みんな、疲れてるんですね。


で、どうするの?追跡取材はしないの?彼の生態を調べて謎を解くことはしないの?あ、もう終わりですか。いい奴なんだから、友達になればよかったのにねえ。素直そうだし。


かくして、我々の戦いは終わった…って戦ってないじゃん!怪獣も逆襲なんてしてないじゃん!彼は、今でもあの島で生き続けているそうな。最後の結びの言葉は、『…人は、もっと優しくなれる。』 …なんじゃあ、そりゃあ!



特集取材6 ほんとにいた! 謎の宇宙人を追え!


このDVD、もう一本収録されています。宇宙人ネタ。UFOを呼ぶ達人が登場。メガネをかけた怪しい中年男。どう考えてみても友達がいそうもない、性格の悪そうな男。夜中に集合かけて、早朝までに伊豆の山頂に着くように指示。取材スタッフとレポーターのおねーちゃんが同行。果たしてUFOは現れるのか。


ルールは3つ。カメラを回しっぱなしにする。強い光は避ける。食事は、カップ焼きそばUFOのみとする。2つ目まではいいとして、3つ目はどうよ。え、この食品にはUFOを呼び寄せる力があるそうな…。へえ。


海老名インターのSAで、男は腹が減ったといい。食堂でラーメン、カレー、牛丼、天ぷらそばなどいっぱい注文してしまう。あのう、焼きソバUFOは…、ああ、きっと現地に着いてからなんですね。これから重大な任務を果たすから、これくらい食わないといけないそうだ。でも、思いっきり残してますねえ。スタッフが不審がると、逆ギレするおっさん。…この時点でこの男がバカだということがわかります。


再び車で移動。買ってきた山のようなビールを、車の中で飲み続ける男。酔っ払うわ、レポーターのおねーちゃんにちょっかい出そうとするわ、同行したスタッフも、だんだん不安になってくる。もう帰った方がいいのでは…と思う俺自身も、見るのやめた方がいいのでは…。


早朝、無事山頂に到着。でも男は酔いつぶれて爆睡。揺すっても起きない。途方にくれるスタッフ。彼が起きたころには、もう昼の2時過ぎだった。スタッフの怒りがついに爆発。 『…あんた、やる気あんのかよ!』 『…ほら、そんなこと言っているうちに、今飛んでったよ。』 『…え、本当?』 すぐに実験開始となった。寝坊はチャラですか。うーむ、なかなか腰のある奴。


で、山頂の公園で、UFOやって来い踊りが始まった。どんがらわっしょい、どんがらわっしょい。スタッフと、DVDを見ている者は、ますます不安になる。UFOは来ない。いらだつ男。『…1人の力じゃ無理だ。』 しかたないので、スタッフの1人が付き合うことに。2人でどんがらわっしょい…。ダメだ、おねーちゃんも入れよう。おお、あんた素質あるよ。3人でどんがらわっしょい…。


だんだん暗くなってくる。『…UFOは見えますか?』 どんがらわっしょい…。『…すいません、もうすでにあなたの姿が見えないんですけど!』 真っ暗になったので、本日はここまで。


毎日毎日、これを繰り返す。気がつくと、数週間が過ぎていた。宿泊施設には、カップ焼きそばとスーパードライの残骸が山のように積まれていた。もうイライラも限界。レポーターのおねーちゃんも焼きそばをやけ食いして気が狂い始めていた。そんな時、夜中に男が彼女を呼び出す。『…森で待っている。』 どうやらこの2人、デキていたそうな。内緒でラブホにも行っていたらしい。…え、もしかしてまた駆け落ちネタ?


心配したスタッフが彼女を探しに行くと、バカ男が現れる。『…もう帰りますよ。』 どうやら、彼は宇宙人だった。これからUFOに乗って帰るそうだ。今度こそUFOが見られるかもしれないと、期待するスタッフ。『…そうだ、記念写真撮ろう。』 フラッシュをたいた直後…彼はいなくなった。暗闇で右往左往するスタッフ。


ここで、警告文が。 “…この先の映像を見て、あなたの身に何かがあったとしても、我々は一切の責任を負うことはできません。” …チープだなあ、いいから見せろ。


暗闇から、男がマサカリを持って現れ、スタッフに切りかかる。掛け声はもちろん、『…どんがらわっしょい!』 うわあ、ぎゃあと悲鳴が聞こえ、唐突に終了。あのう…UFOは?宇宙人は?


このバカ男、人をさんざん振り回して、どういう気なんでしょうか。おーい、チュパ君、頼むから、こいつを食い殺してくれ!レポーターのおねーちゃんをつけてあげるから。


このDVDで学んだことは、カップ焼きそばとスーパードライの組み合わせはイカンということ。食い続けると、凶暴になります。…お前ら、日清食品とアサヒビールにちゃんと謝っておけよ。